Discord事件、一年前の彼女の視点
こんばんわ、ヴェンデッタです。
今回はいつもと雰囲気を変えてインタビュー記事をお送りしたいと思います。
とある方と話をしていたところ話の流れでこのインタビューを承諾してくれました。
インタビューのテーマは「Discord事件について」です。
簡単に概要を説明すると「初の多人数コラボでガチRPVTuberとそれを無視したトークを繰り広げてしまったために起きた放送事故とそれに伴う炎上案件」と言えばいいでしょうか。
前提知識が結構多いので、ざっくりとした事件の流れはここを読んでもらうと分かりやすいと思います。
この名前を聞いてピンとくる人も少数派となった今となっては「事件というより事故」という意見もあれば「最近の事件に比べればしょうもない事件」と言う人もいます。
ですが私はまだこの事件から学ぶことは多いと思っていますし、巻き込まれた関係者からすればそれこそ「ネットリンチ」に遭遇した事件なのです。
それではどうぞ。
・21:13 はじまり
情報提供者の「Nさん」はこのDiscord事件についてよく知る関係者の一人。
実はもちひよこ氏やのらきゃっと氏と同期でもあり現在も活動中のVTuberの一人でもある。
以下はそのインタビューの様子である。
内容については読みづらい部分を直したり脱線した部分を切り取ったりしているが、実際のやり取りとほぼ同じ内容である。
これはNさん本人にも確認をして頂いている。
それでは改めて「Discord事件について」ということで。
そっちとしてはキツい話を掘り返すわけなんで厳しくなったら中断します、その時は一言お願いします。
Nさん
ありがとうございます。
それではメンバーとの馴れ初めから、どういった経緯で知り合ったのでしょうか?
Nさん
当時私がVTuberじゃない、早くいなくなれって自分の動画のコメントとかエゴサで出てくる話で言われてて何がいけないのかすごく悩んでいて
前年末に開始する前にいろんな人の動画を見て研究していたんですけど、自分より後にデビューした人の動画を含めて研究目的で色々見ていたんです。
Kaitoさん、tenoさん、式大元さんと知り合ったのはその時ですね。
他のメンバーは当時私がVTuberを網羅する勢いで見ていたので、Twitterを「バーチャルYoutuber」で検索かけて探し出して見ていました。
kaitoさんは「雨下カイト」さん、tenoさんは「照乃」さん(現NOΔH氏)でよろしいですか?
Nさん
はい。
ペ銀さん、今和間田さん、モスコミュールさん、ぜったい天使くるみさんとはTwitter上でやりとりがある程度の関係でした。
Ranさんとキョウさんとはそもそも面識がなかったです。
知り合ったタイミングでは既にDisucordサーバーは立っていたんでしょうか?
Nさん
立ってなかったです。
となるとサーバーが立った後に誘われたと、誰からお誘いを受けましたか?
Nさん
照乃さんです。
何時立ったのかは知らないのですが、元々は照乃さんのファン向けサーバーだったらしいです。
それがいつの間にかVTuber情報交換サーバーになっていたと。
Nさん
はい。
サーバーを立てた後に自称「Discordの取り扱いに詳しい人」ということでRanさんが入ってきまして。
その辺りから既に入っていた照乃さんのファンの後押しもあって個人VTuberにどんどん声をかけようってなった、と聞いています。
私は声がかからないないだろうと思っていたので、誘われた時は「私もVTuberと認めてくれるんだ」と安心した覚えがあります。
それはうれしかったでしょうね。
Nさん
はい。
Nさん目線から見てメンバーの第一印象とか、覚えてますか?
Nさん
うーん・・・。
そんなに深く話す感じではない?
Nさん
難しいですね、特に悪印象とかはなかったので・・・。
ただRanさんだけはちょっと出しゃばり過ぎ、調子乗り過ぎ、って感じました、失礼ながら。
他のメンバーはみんな一生懸命にやってるなって印象でしたね、尊敬できるって思いましたよ。
あとは登録者数の多いVTuberの方で発言が活発な方とそのファンの方の何名かがちょっと危なっかしいなと感じた程度です。
メンバーの中でよく話す方はいらっしゃいました?
Nさん
出演者の中だと一番会話があったのは今和間田さんだったと思います。
あとは全体会議で色んな人と話してた感じで、特に誰かと親密に話すということはなかったですね。
というかそもそも私が加入してすぐにDiscord事件になったんじゃないかな・・・。
記憶が定かじゃないのですが、イメージ的には三日ぐらいしかなかった気が・・・。
それじゃ加入タイミングだと結構早いタイミングでコラボ配信の話になったんですか?
Nさん
いえ、コラボ配信しようって話が出たのは事件の二日前です。
最初はただの構想で実際にやる予定はなかったのですが、
私が加入してすぐコラボ配信の話になったかってことですか?
そうですね
Nさん
「これだけ集まったらコラボできんじゃね?」って話は入った瞬間からありましたね。
加入前から進んでいた話ではなく、現状の人数を見ての思いつきって感じでしょうか?
Nさん
そんな感じです。
そもそも具体的に話が進みだした時はDiscordサーバー内での限定配信の予定だったんですよ。
Nさん
その辺の変更になった時私はログインしていなかったので詳細は分からないんですけど「Discord内で動画を流す手段がないから」だったようです。
なるほど、それで例の配信に至るわけですか。
Nさん
はい。
・21:45 配信準備
Nさん
そもそもなんで碌な準備もなく出演者間のすり合わせもなく行われたのかというと、「Discord内限定のつもりだった」というのと「ミライアカリさんと式大元さんの生配信の間のつなぎだったから」なんです。
放送内容に関しても「キャラクター同士で異世界クロストーク、ひょっとしたら制作裏話も聞けるかも?」っていう内容の予定だと放送直前まで聞いていました。
これ私以外も全員そう聞いています。
実際にその流れで例の配信に至った訳ですけど、メンバー選定はどのように行われましたか?
Nさん
式大元さんの前座でやるっていうのが急に決まったので準備期間なかったんですよ。
それで「時間空いてる人で手伝ってくれる人いませんか?」って照乃さんが呼び掛けて「だったら手伝います」って名乗り出たメンバーが出演者なんです。
モスコミュールさんや式大元さんも作業しながらでいいなら手伝いますって名乗り出てくれました。
ぜったい天使くるみさんが名乗り出たところは私の記憶では見ていないので、ログアウトした間に手を上げたのかと。
式大元さんはその後に配信を控えているのによく名乗り出ましたね。
Nさん
その辺はなんででしょうね?
不確かな情報出しそんな感じのツイート見たことある程度のレベルなんで言いたくはないんですけど言い出したのが式大元さんだから、言い出しっぺだから出ないわけにはいかなかったから・・・?
言い出しっぺは照乃さんではない?
Nさん
言い出しっぺではないですね、一応サーバー管理者だったので最終決定をしたのは照乃さんでした。
ですが印象としてはなんか周りに勧められて「よっしゃやるか」ってなったって感じですね。
誰が言い出しっぺというのは特になかったんじゃないかな?
周りというとVTuberメンバーだけではなく加入していたファン含めてということでしょうか?
Nさん
そうですそうです。
どちらかというとVTuber側で前のめりな方はそんなにいなかったような・・・。
始めに聞いた話が雨下カイトさんの異世界コラボ構想でしたので「そういうの出来たら素敵だね」程度の感じだったかと。
雨下カイトさんなら言いだしそうな構想ではありますね。
Nさん
「俺たちがやってやるぜ!」みたいな人はそんなに居なかったような気が・・・。
話聞く限りの印象では「身内向けの放送」の予定だったって感じですね。
Nさん
全く持ってその通りですね、Youtubeで外に向けてやるとは思っていなかったですよ。
それでも内容自体はファンサービスだと思ってましたからあんな内容になるとは誰も思っていなかったはずでしたよ。
Youtubeでやるの知った時に降りればよかったって話もあるかもしれないですけど、言えませんよ。
照乃さんが一生懸命準備してるのを見てるのを見てて、みんな手伝いますって手を挙げたんですもん。
なんとなくどんな感じだったのか想像つきますね・・・。
Nさん
割とテンパってた印象があります。
準備してたってことは打ち合わせとかですか?それとも単純に配信準備とか?
Nさん
配信の準備ですね。
何をしてたのかよくわからないんですけど「手が離せないから後で返信する」って状態でした。
照乃さんは配信準備で忙しかったとのことですが、事前に打ち合わせとかが一切無かったということでしょうか?
Nさん
簡単なものしかしてなかったと思います、これこれこういう内容で時間になったら集合みたいな。
それで直前に「こういう内容でいいんですよね?」って確認してOKです、みたいな流れだったかと。
私が知らないだけかもしれませんが・・・。
今回のインタビューも簡易的ですが事前に何点か確認しましたけど、大体あんな感じですか?
Nさん
ですね、私の知ってる限りは細かい段取りとかは作ってなかったです。
さっきも言いましたけどぜったい天使くるみちゃんが出演するの私が帰宅してDiscordにログインするまで知りませんでしたから、もしかしたらその間に何らかの打ち合わせがあったかもしれません。
それと段取り云々とは別なんですけど、Ranさんがなんか出るタイミング伺ってたとか。
照乃さんがRanさんが出てくるタイミングを放送の流れを見ながら決めることになっていましたね、何をするのかは知らなかったんですけど。
それも放送始まってから知ったのでヤバいと思ってマイク切って裏で「余計こじれるから出てくるな」って釘刺した覚えがあります。
その辺は後で詳しく聞きましょう。
Nさん
はい。
・22:46 配信炎上
そこから実際の配信になるわけですけど、今アーカイブ残っていないんで確認しようがないんですけどどんな内容の放送だったか覚えていますか?
Nさん
私もそこまではっきり覚えていませんが、確か雨下カイトさんと照乃さんがタイトルコールをして、一通り自己紹介ってことでキャラ設定とか話してそこからキャラの世界観の話題に移った訳です。
でもタイトルコールの時点からチャット欄が大荒れで、私怖かったからキャラ設定とろくに語れなかったですね。
キャラクターの世界観の件でモスコミュールさんとかその辺を話してたんですよ、そこに私とかペ銀さんとか今和間田さんとかがキャラロールで対応していたんですが、どういう経緯で流されちゃったのかもう覚えてないんですけど、とにかく世界観の話とかが軽く流されちゃったんですよ、「その辺の話をしてください」って司会が振ったのにも関わらずですよ。
その辺から本格的におかしくなりだしました。
式大元さんの演技を弄り出したり、曖昧ですけどモスコミュールさんの学生時代の話を聞きだしたり、全員に対して恋愛トークに誘導したりとかしましたね。
その辺からコメント欄が大荒れに荒れて、それでも司会は「荒らしだから無視して」って感じでした。
ほっとけなかったので私が「コメント欄気にしてください」って注意したり、コメント欄に「みんな落ち着いてください」って書き込んだりしてどうにか収めようと思ったんですけど駄目でした。
その辺ぐらいでぜったい天使くるみちゃんが来てコメント欄に向かって一言二言問いかけて、司会側には「こんなの聞いてないw」ってふざけた感じで言って去って。
そのタイミングに合わせてか「私達も席を外した方がよさそうですね」みたいな感じでモスコミュールさんと式大元さんが離脱しました。
それでもうコメント欄的には”守るべきVTuberは”居なくなったので更に荒れて、それでも続けようとするので「流石にもうやめるべき」って私が出ました。
そうしたら照乃さんが「反省会はここでやりましょう」とか言い出したので「いい加減にしろ一旦閉じて反省会は裏でやりましょう」って感じで無理やり終わらせて謝って終わりです。
頑張って準備した手前成果無しで終わらせたくなかったのかもしれないですね。
Nさん
ですね。
Ranさんが乱入の話があったのはどのタイミングですか?
Nさん
放送が始まったタイミングからそういう話はありました。
何をするのか知りませんけど「コメント欄を黙らせる秘策がある」みたいなことを言ってました、多分なかったんだと思ったんで「やめてね?」って釘を刺したんですけど
Discordのサーバーってテキストのチャンネルとボイスチャットのチャンネルで分かれてるんですけど、Ranさんはテキストのチャンネルで待機してたんですよ。
出演者のチャンネルと視聴者のチャンネルが別だったんで何某か感じてもRanさんに話しかけられるのは私しかいなかったんですよ、他に何人かいた気がするけどよく覚えてないです。
そこでタイミングを伺ってたRanさんに釘を刺したと、意外と素直に従うものですね。
Nさん
照乃さんからGOが出ない限り行かないと言ってましたので。
逆に言えば、行けと言わればNさんに止められても行くよってことってことだったんですけど。
なるほど、じゃあ乱入前に放送中断出来てよかったというわけですか。
不幸中の幸いというか。
Nさん
そうですね、解りませんけど・・・。
・23:10 サーバー解散、謝罪
そこから後日謝罪と解散という流れですか?
Nさん
そうですね。
謝罪については私も多少働きかけました、放送翌日の早朝ですけど。
当時はDiscordの招待URLが公開になってたんで、既にたくさんの「VTuberを守れ派閥」の人が入ってたんですよ。
私は前日の放送で憔悴しきって寝て、起きたらDiscordを確認したらサーバーでその人らが暴れてるんですよ「お前らじゃ話にならん、誰でもいいからVTuberを出せ」って。
私が寝てた間カイトさんとねこね。(現ハクヤ)さんが対応してたらしいんですけど、時間が時間だったんでもう寝てしまっていて。
もうその時対応できるVTuberが私しかいなかったんですよ。
それは・・・。
Nさん
無視すればよかったのかもしれなかったんですけど、私も大分憔悴しきってたので・・・。
「今このサーバーにいるVTuberの中で、消えていい奴は誰だ」
「今このサーバーにいるVTuberの中で、消えてもファンが悲しまない奴は誰だ」
「今このサーバーにいる他のVTuberさん、守らないといかんでしょ」と思ってしまったわけで、話に応じたわけですよ。
それで「5chに行って話してこい」っていうのと「引退して二度とVTuberに関わらないと約束してください」って言われて、従わなかったら余計荒れることしか想像できなかったので従いました。
それで5chで話をして「サーバー解体させて来い」って言われてRanさん照乃さんに話をさせて頂いてサーバーを解体させてもらいました。
謝罪については放送終わった後の反省会で「ちゃんと謝罪しよう」って皆さんに言いました。
すいませんどう声をかけていいか・・・。
大分キツいことを潜り抜けてきたようで。
Nさん
えぇ、こういう顛末だったので。
丁度ヴェンデッタさんがこの間出した記事通りのことが起きた起きてたって話ですね。
「100万の赤子がお前を殺す」とか言われてましたからね、私。
流れとしては大体掴めました。
すみません、ありがとうございました。
・23:37 何を学び取るべきか
Nさん
この後は「あっくるコラボ」に繋がるぐらいですかね。
Discord事件が早々に終わったので。
ですね、あの配信がなければ「コラボは禁忌」として扱われていたのかもしれませんね。
Nさん
はい。
結局は「アズリム事件」とか「牡丹きぃを救いたい」とかと大まかには同じ現象ですよね。
だから先日出したヴェンデッタさんの記事が凄いタイムリーだったなと。
deepthinkvtuber.hatenablog.com
行き過ぎた防衛意識とか、別にVTuberに限った話じゃないんですけど。
Nさん
ですね、色んなとこにある話です。
個人的には成り立ち含めて特殊で居心地のいい界隈だからこそ今までの失敗を活かしていい発展の仕方をして欲しかったと思ってるんですよ。
まぁ現状こんな感じですけど。
Nさん
私も同意見です。
ただ私はVTuber側なので多少の意識のズレはあると思います。
「色んなとこにちっちゃい宗教がたくさんあって、その信者が過激な事をする」って風に見てます。
私が悪いのはそういうちっちゃい宗教の教祖になれないからなんだと思ってますし。
ファンの語源もそんな感じですし、人間そういう風になってしまうところがあるんだと思います。
Nさん
Fanaticでしたっけ?
ファナティック、狂信的、まさにその通りです。
Nさん
狂信者と分かってて狂信者を抱えこんでいいんでしょうか・・・。
そこは教祖がコントロールするところですよ。
Nさん
幸い私のファンを自称してくれる人は「なんかあったらNさんでも殺す」って人しかいないんですけど。
自分でそういう風にしているんですけど「それがいかんのか」と思ったりもしてますよ。
気持ちよく狂わせた方がファンは嬉しいのかなって。
どういう雰囲気にしたいかによりますよね。
そろそろいい時間なんで、なんか言いたいこととかありますか?視聴者向けに。
Nさん
え、そういうのなんですか?ええとそれじゃあ・・・。
あなたの推しが消える前に、メッチャ好きを伝えてください、本人に見えるように。
あなたの推しが間違ったことをしているなら脳死で従うようなことはしないでください、別の方の推しが冤罪で死にます。
ちゃんと考えて、情報を得てからの判断だから脳死で推しに従ってるわけじゃないと思っても一呼吸おいてください。
あなたの推しを人に恨まれるような人にしないように守るのもあなたの務めです。
といったところで。
ありがとうございます。
すいませんこんなに長くなるとは思っていなかったので・・・。
Nさん
いいえー、こちらはこれぐらい長くなるだろうなと思っていたので。
寧ろ長くなってしまって申し訳ありませんでした。
本日はありがとうございました。
Nさん
こちらこそありがとうございました。
約3時間ほどのインタビューとなった。
VTuberのファンコミュの書き込みを見る限り「今この放送と同じ事をしてもここまで荒れないだろう」という意見があるが、私は今やっても結局炎上するだろうと考える。
VTuber側の準備不足、そしてRPガチガチなVTuberとそうでないVTuberのズレ、リスナー側の防衛意識、これらの要素がかみ合って同じような炎上を繰り返すのだろう。
「誰が悪い?」ではなく「何が悪かった?」という考えに至らないとこの事件の本質は見えてこない。
様々な記事では「誰が悪いか」と「被害者は誰か」というところに焦点が当てられているが、そこは表面上のものでしかない。
私自身この事件についてNさんから聞いて初めて知ったことが多い、主に脱線部分の話になるので書かなかったが、実際話の中で私の中で照乃氏の評価は上がった。
インタビュー中では5chは悪い風になってしまったが、5ch含めた匿名掲示板のVTuberコミュではNさんの行動を高く評価している人も多い。
この一件から学ぶことは未だに多い、特に今不安定になりがちなVTuber界隈だからこそ。
私達は未だに前進できていないのかもしれない。